病院感染が疑われたサルモネラO7群による複数感染
Plural Infection by Salmonella O7 Group That Hospital
Infection Was Doubted

金子陽子*1, *2・片桐由美子*1 *2・太田智子*1・坂田房子*1・小林和夫*3
*1新潟県厚生農業協同組合連合会栃尾郷病院検査科
*2現 新潟県厚生農業協同組合連合会長岡中央綜合病院検査科
*3新潟県厚生農業協同組合連合会栃尾郷病院内科
JARMAM Vol. 17 (1), p. 33〜39, 2006

要 旨 平成14年8月,74歳,男性の入院患者に発熱と下痢が認められたため糞便培養検査を実施したところ,Salmonellaを疑うコロニーが少数検出され,Salmonella属O7群と確定された.患者からの聞き取り調査により院内発生を疑い,同時期入院患者の全カルテより腹痛や軟便下痢を呈していた15名のうち,検査可能であった入院患者7名,退院患者2名について糞便培養を実施し,直接分離培養法で4名,増菌培養法で2名の計6名,発端患者を含めると7名から本菌群が検出された.病院給食による食中毒も視野に入れ,食品衛生法に基づき所轄の長岡健康福祉環境事務所(以下保健所)の行政指導を仰いだ.

 原因究明のために病棟および調理室の環境検査や患者聞き取り調査も実施したが感染源・感染経路の特定には至らなかった.遺伝子検査は実施しなかったが,半自動測定機器 Autoscan 4 (DADE BEHRING) でのサルモネラ同定biotypeは53525040とすべて一致しており院内発生が強く疑われた.病院給食による食中毒については,下痢の発症時期にばらつきが見られること,病院給食を摂食した入院患者数に対して下痢症が明らかに少ないこと,栄養科の調理職員および環境調査でも衛生上特別に問題がなかったことから,感染源としての可能性は低いとの保健所の見解であった.

 3名の患者には抗菌薬が投与されたが,職員への感染対策の教育・啓蒙,感染対策の見直し・清掃・清拭による環境整備などを強化して約40日後に終息した.

Key Words : Salmonella, O7群,複数感染,病院感染

別刷請求先: 〒940-0861 長岡市川崎町2041

新潟県厚生農業協同組合連合会長岡中央綜合病院検査科 金子陽子

E-mail: kensa _sys00@nagachu.jp